●東京画 Tokyo-ga

おいらのバイブル的映画。
荒木経惟がなにかの写真集でこの映画のことに触れていて、はじめてみたのが10年くらい前のこと。
小津安二郎の「東京物語」の世界を見たくてやってきたヴィム・ベンダースが、
小津の描く東京とは絶望的に違う「今」の東京の光景を呆然と撮りつくす。
ベンダースが一歩も二歩も離れて撮った東京は、あまりにも異常で、
まさに「光景」とでもいうべき風景の連続だった。
そんな感じの映画。
「東京物語」で笠演じる老夫婦が東京で受けた冷たい仕打ちが、
そのまま形を変えてヴェンダースへ向かったような。
映画後半の小津に仕え続けたカメラマン厚田雄春への淡々としたインタビューもいい。
厚田の小津への慕情や尊敬の念、小津の厚田への信頼の念。
それがしんみりと伝わってくる。
厚田は、小津のことを延々と語り続けた後、最後に言葉を詰まらせる。
「もう勘弁してください」
そして、そのまま「東京物語」のエンディングへ。
妻亡き後、笠がぼんやりと家で過ごすシーンだ。
Tokyo-Ga
監督:ヴィム・ベンダース
出演:笠智衆ほか
1985年

