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2005年09月10日

●無力感にさいなやまされて

 今朝の高知新聞で、実は学生時代の恩師の一人でもある野田正彰先生が興味深いことを書いていた。まるで今回の衆院選におけるブログ上での論戦の総括のような、分かりやすいテキスト。 

 今の政治状況の背景には、社会の大きな動揺がある。特にアジアにおいての動揺の中で「選択の停止」をしている。このまま、まあまあやっていける、と思っている。・・・この思考停止を生んでいるものは「無力感」です。戦争を反省することなしに経済成長にまい進した。結局、それだけだった。カネをばらまいたけど、国際的には評価も敬遠もされていない。国連安保理常任理事国に入りたいといったら、何のためにと問い返された。それに反発することもできない。


 阪神大震災から10年、日本は不況から抜けることもなく、災害にまみれ、犯罪も増え・・・と、次から次へといろいろなものが壊れていった。それまでの日本人は、戦後に失った「宗教」のかわりに「拡張する経済」を信じていれば良かった。戦後の何もない時代から街を立ち上げ直し、景気が悪くなれば街を壊し、自然を壊し、それまでの文化を壊してでも、とにかく「拡張する経済」を信じて進んでくれば、それでよかった。
 しかし、その「拡張する経済」は85年を境に崩壊をはじめ、ほんの数年のうちに「縮小する経済」が当たり前になった。そして95年には神戸が壊れ、今まで汗水流してつくりあげてきたものがたったの45秒で藻屑になることを今更ながら知った。そして、神戸の地震と東京でのテロは、あーこらどこにいてもいつ危険な目に遭うのかわからない、という厭世観やストレスへとつながった。
 その後は、年金も、国債も、外交も、地方も、都市も、農業も、何もかもがダメ。そもそも「今や直近の未来」にしか頭が回らなくて「将来」を見越す力がこと平成に入ってからの官僚や政治家にはないのだから、こうなったのも致し方がない。彼らは大学で拡大経済しか学んでいないから、人口縮小経済ということが頭にない。だから、いつまでたっても日本の可能性は無限大だと信じている。いま破綻し掛けている政策は、およそその無限大への希望からはじまっている。そして与党によれば、この問題は郵政をリセットすればかなり解消されるのだと。
 こんなダメな国をみていたら、そりゃ「無力感」にもさいなやまされる。そして国民は、こんな無力感の中に降り立った教祖様の分かりやすい論理(すり替えだらけの)に、ついつい気持ちが良くなって、信じてみることにしたわけだ。

今まで確かに努力はしてきたけど、何に向かっての努力だったか、反省する力がない。

 なるほど、反省していない。整備新幹線はまだまだできる。道路公団の改革はかけ声ばかりで骨抜きだ。農業政策も林業政策も、いつまでたっても土木政策と外交政策を軸に語られ、国の食糧をどうするかという極めて根本的な問題に未だ取り組めていない。この先中国が拡大すれば、石油も食糧も買えなくなる可能性があるというのに、いつまでも原子力以外の代替エネルギーに踏み込むことができない。食糧自給率も40%というひどさ。なぜなら、石油を買わないといけないからだ。食糧を買わないといけないからだ。石油のかわりや自前の食糧を増やすということは、「日本の国益」じゃなくアメリカの国益にかなわないからだ。
 そんな問題に目を瞑り、郵政民営化だけが今のこの国の問題かのようにいうジャンキー宰相。そしてジャンキーな国民。9月11日は、ジャパニーズがジャンキーズになる日。
 反省する力がないのは、信じるモノを失ったて、反省するための指標すらも失ったからだろうか。


・・今、生活のあらゆる部分に「うそ」が蔓延しているのではないか。日本社会の大きな病理は「虚仮(こけ)」。表と裏で実相が違っている。うそに対し非常に無力になり、どうしようもなくなってきている状況。勤務実体がない会社から給料をもらっておいて「人生いろいろ」と首相が開きなおる。虚仮への歯止めがなくなった。
・・経済団体も、自由な競争が正義だと主張しながら不正を維持している。政治だけではなく、それぞれの人がうそで生きている。政治にはうそがいっぱいあるからそれに敏感でないといけないのに、そこがぶっ壊れ、それでいいんだ、となった。

 政治の嘘が国民が看破できないというのは、とても深刻なことだ。中央の新聞やテレビは真実を伝えず、今日の記事のように自民党で大勢が決まったかのようなニュースを一斉に無批判に流す。まともな判断材料も与えらない国民は郵政民営化がうまくいけばこの国の不条理や不安が一切合切クリアになると信じて一票を投じる。郵政以後のことは次の人がやるなんていう無責任な放言を、これから与党になろうという政党の重鎮が口を揃えていうだなんて、私たちはまさに「虚仮」にされている状態なのに、もはや私たちは「まあそんなんもありか」と一票を投じる。

 競争社会がいい社会と言われ、だまされている。・・・勝ち組は、社会的にうまくいかない子どもたちが不満を持っていることに何の優しさもない。それが自分たちの社会のツケという自覚もない。それで、問題を起こした子どもは厳罰にすればいいと言っている。  自己改革を奪われたまま、来てしまった。おかしなことには抵抗し、問題の矛盾を見つめる力を深めることが必要です。

 折しもこの国のこれからの「お手本」のアメリカは、今回のハリケーンで自由主義の欺瞞に気付く可能性がある。だけど、この国では、ホリエモンの言うことが気持ちよく響くらしい。

 おいらは、個人個人がよくよく考えて一票を投ずるならそれは全然いいと思う。だけど、考えているんじゃなくて、酔っているだけで決めているのだとすれば、ただただやばい。

高知新聞「この国の今/野田正彰」


※タケムラのもうひとつのブログにて公開していた記事を転載しました


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